仮想通貨(ビットコイン) 所得税の取り扱い2
横浜関内の会計・税理士事務所オリナス・パートナーズです。
前回、仮想通貨(ビットコイン)を使用することによって生じる損益は、原則として雑所得になるとお伝えしました。また、仮想通貨(ビットコイン)で利益が生じる場合についてもお伝えしました。
今回は、雑所得になった場合、どのような所得計算となるのか、株式売買、外国為替証拠金取引(以下FX取引)とも比較してまとめてみました。
所得税計算の前提
所得税は、基本的に10種類の所得に分類され、各所得ごとに計算を行い「総合課税」と「分離課税」に分かれて課税がされます。
「総合課税」は、申告者の全ての所得の金額を合計して超過累進税によって、税金計算が行われます。超過累進税率とは、課税総所得金額に応じて税率が変化して、課税総所得が高くなるほど税率が高くなります。
「分離課税」は、他の所得とは分離して所得ごとに決められた税率を用いて税金計算が行われます。例えば、不動産売却に関する所得や銀行預金の利子所得、株式の売却による所得が該当します。
仮想通貨(ビットコイン)の税金計算
仮想通貨(ビットコイン)を使用することによって生じる損益が、原則通り雑所得であったと仮定します。
仮想通貨(ビットコイン)を使用することによって生じた雑所得は「総合課税」になり、他の所得と合算して税金計算が行われます。なお、仮想通貨による売買で損失が生じた(雑所得がマイナス)としても、他の所得との相殺を行うことはできません。また、損失の繰越控除などの特例も現時点では存在しません。
株式売買の税金計算
株式の譲渡により生じた利益は、原則として「譲渡所得」となり、「分離課税」で税金計算が行われます。税率は、所得税及び復興特別所得税が15.315%、住民税率が5%で合計20.315%となります。
上場株式の譲渡で損失が生じた場合は、確定申告により、その年分の上場株式の配当所得と損益通算することができます。また、損益通算をしても控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式に関する譲渡所得と配当所得の金額から繰越控除することができます。
ゴルフ会員権の譲渡所得については、「総合課税」で他の所得と合算して税金計算が行われます。なお、平成26年4月1日以降に生じたゴルフ会員権の譲渡損失については、他の所得と損益通算することはできません。
FX取引の税金計算
FX取引の差金決済で生じた利益の課税計算は、「申告分離課税」として他の所得と区分して、「先物取引に係る雑所得等」として税金計算が行われます。税率は、所得税及び復興特別所得税が15.315%、住民税率が5%で合計20.315%となります。
FX取引の差金決済で損失が生じた場合は、他の「先物取引に係る雑所得等」として損益通算が可能です。また、損益通算してもなお損失となる場合には、翌年以後3年間にわたり先物取引に係る雑所得等」の金額から控除することができます。
まとめ
以上が、仮想通貨(ビットコイン)の税金計算と株式売買、FX取引の税金計算との比較になります。
仮想通貨(ビットコイン)の税金計算は、株式売買やFX取引と比較すると損失の繰越控除が使用できないなど、まだまだ不利な面があります。
仮想通貨(ビットコイン)の税務上の論点については、今後も随時情報を更新していきたいと思います。
また、仮想通貨の取引に関する申告に関して、ご心配な方は一度専門家にご相談することをおススメします。
お知らせ
年間を通して、仮想通貨で20万円以上の利益を確定された方については確定申告が必要になります。平成29年度では多くの仮想通貨が値上がりしたため、確定申告が必要な方も多くいると思われます。
確定申告が必要であるにも関わらず、確定申告を行わない場合はペナルティが発生します。
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